新宿紀伊国屋書店と「ブルックボンド」
こんにちは。
てらぴーだよ。
新宿にある紀伊国屋書店。
東京にいた頃は、よく利用してました。
庄司薫さんの、いわゆる青春4部作の最後、『僕の大好きな青髭』では、紀伊国屋あたりが舞台だったので、上京する前から、気になってました。
エスカレーターの横で、虫取り網を持って立つなんて。
いったいどんな場所なのか、早く見てみたい気持ちでいっぱいでした。
作中にも出てきた、書店内の喫茶店『ブルックボンド』。
ここにも、早く入ってみたかった。
おのぼりさんでしたね。
この『ブルックボンド』で、高校時代の同級生と、大学は違ったけれど、5月か6月、かなり早い時期に会いました。
お互い初めての一人暮らし、しかも東京、どう?慣れた?みたいな感じで。
今でもはっきりと覚えているのは、ジャケットを着て行ったこと。
だからなのか、彼女からは、「垢抜けたね」と言われました。
でも、その意味がわからなかったので、聞き返すと、彼女は無言でした。
「田舎の垢が抜けた」という意味だとは後で知りました。
そのジャケットも、今から思えば、ごく普通のやつで、おしゃれなものではなかった。
着るものには今だに、無頓着です。
その時は、コーヒーではなくて、せっかくだからと紅茶を飲んだはず。
何しろ、ブルックボンドなのだから。
でも、どんな味だったか、何にも覚えてません。
覚えているのは、彼女の「垢抜けたね」という言葉と、その後の沈黙。
彼女は、仲のいい友人ではあったものの、恋人という関係ではなかったので、その後ご飯を食べるでもなく別れたと思うけど、全く覚えてません。
「ブルックボンド」は、その数年後に、改装の際、なくなってしまいました。
人は、いろんなところにいろんな思い出を残して生きていくのですね。