コーヒーの苦味ってば、奥が深いよ
ところでコーヒーの話だが、倉式珈琲に避暑しました。
ギリギリでモーニング。
本日のコーヒーは、コスタリカ。
「アキレス農園」とメニューにあります。
おお、わざわざ地球の反対側からようこそ。
強い苦味が持ち味みたいです。
酸味は控えめ。
確かに、最初の1杯目は、苦味だけという感じでした。
酸味は完全に隠れてます。
2杯目も、冷えてしまうと、酸味がようやく感じられます。
冷房も効いているので、1杯目の熱々の味わいの方が、苦味を感じられていい感じです。
この、コーヒーごとの微妙な苦味の違いもまた、味わいの醍醐味なのでしょう。
どれもこれも同じ「苦味」だったら、それはそれで寂しいものです。
言葉にするのが難しいのですが、コーヒーによって、入れ方によって、飲む時の温度によって、苦味も変わってきます。
自分の中では、「赤い」苦味とか、「黄色い」苦味とか、「甘い」苦味とか、それなりの語彙を用意してはいるのですが、確固とした基準があるわけでもなく、説明しようとすると、途方にくれてしまいます。
苦味とかのチャートなんかがあって、「コスタリカは苦味4だなあ」「湯温が下がると苦味も1ポイント下がるなあ」なんて言えればいいのですけれども、それはそれで面白くないですよね。
味わいはどこまで行っても個人的なものだから。
ただ、苦味って、強さだけではないと思います。
「ものすごく苦い」から始まって、「そこそこ苦い」「それほど苦くない」といった「苦味スケール」がある一方で、先ほど述べた、苦味いろいろがある。
ただ、うまく伝えられない。
他も食べ物の苦味を引き合いに出しましょうか。
例えば、カカオ80%のチョコ並みに苦いとか、春先のふきのとうで、まだちょっと早かったかな、の苦味、とか。
ますます混乱。(笑)
でも、苦味にも、その中身に違いがあって、それを味わい分けるところにコーヒーを飲み続ける楽しみもあると思います。
一つの平板な、誰が味わっても同じ「苦味」があるのではないと思います。
生豆によって、焙煎によって、ドリップの仕方によって、飲み方によって、その時の体調によって、コーヒーカップのデザインによって、マスターの人柄によって、もうありとあらゆる要素が、今日のこの1杯のコーヒーの苦味を決めているのです。
いいえ、決めてはいません。
苦味は一つに収束しない、しないでいろいろに変わっていくのです。
その移り変わりの一端を僕たちはすすっている。
すすっているのは苦味のほんの切れ端。
捕まえた、と思ったらするりと手を抜けていく、妖精のようなほのかな流れ。
その流れに身を浸したくて、今日も苦味のレッスンです。