金沢の観光地から割とすぐ、隠れ家的なブックカフェ、「山鬼(さんき)文庫」
こんにちは。
てらぴーだよ。
小春日和の夜に、手帳の時間です。
今日1日を丁寧に振り返りましょう。
金沢で観光するとなったら、まず行くのが兼六園、それから、東の茶屋街ではないでしょうか?
その、東の茶屋街の脇を流れているのが浅野川で、対岸を浅野川に沿って1キロほども歩くと、築100年の町屋を改装したブックカフェ「山鬼(さんき)文庫」があるのです。
今回、ひょんなことからその存在を知って行ってきました。
東京で言うと、高円寺か荻窪あたりから、谷中に行ってみた、という感覚でしょうか?
古い住宅地が続き、軽自動車でも1台通るのがやっとという街並みが続きます。
そして、ブックカフェらしからぬたたずまいを見せて、かつて料亭として使われていたという「山鬼文庫」が、現れるというか並んでいるのです。
入口に掛けられた白い「のれん」だけだと、お蕎麦屋さんか何かのような店構えです。
入ってすぐの右側に「受け付け」があって、着物姿の若いお姉さんがお出迎えです。
「喫茶かお食事もしますか?」と聞かれました。
ここは、収蔵品の展示会も行っていて、この日はレトロな絵ハガキ展の最終日だったのです。
展示だけを見るのなら無料ということです。
喫茶もお願いします旨を告げて、促されるままに奥、といっても次の部屋に歩を進めます。
掘りごたつ形式のテーブルが二つ並んだ和室。
手前には先客の若い女性がおひとりで座っていたのでそのとなり、奥の方に陣取ります。
部屋と部屋を隔てる壁や仕切りは何もなく、代わりにスチールの本棚が、立体迷路の壁みたいに奥へと並んでます。
先に注文を告げて、店内を回ってみることに。
なんだか懐かしい古本屋さんの店内を想起しました。
おおざっぱにジャンル別に分けられているらしく、美術関係とか、建築分野、漫画本など多岐に渡ります。
多少新しい本もありますが、ほとんどが、古本屋で見かけるような外観で並んでいます。
ああ、こんな背表紙をよく見続けてきたなあと、しばし感慨にふせりました。
奥の方は本当に迷路みたいで、ものすごく狭いところもありました。
とにかく1階はテーブルが三つの和室部分以外はぶち抜きで、ひたすらスチールの本棚を入れて本が並べられています。
奥に入ると、まだ整理されていない書籍や雑誌などが積み重ねられていたり、段ボールが重ねられていたりしました。
圧巻。
古本屋さんの倉庫にでも入ったようです。
同時に、自分もこれぐらいは集めたのではないかと思い出してもいました。
事情があって、ほとんど処分しましたけど。
ああ、でもやっぱり本はいい。
あるだけでもいい。
ひそかに自分だけでハイになっていたのです。
それにしても、誰が始めたのか、いつからやっているのか、疑問がわいてきます。
受付に合ったリーフレットが疑問を解消してくれました。
金沢にある国立の美術工芸大学を定年退官した教授が始めたようです。
ご本人のお名前が「森」だったので、森は木が三本、三本の木「さんき」そこから「山鬼」となったということでした。
定年退官を機にこの町家を購入して、ブックカフェとして改装、2013年から営業しているそうです。
そんな以前から?
アンテナに引っかかってなかった。
ああでも、これは自分の中で定番になります。
お家のすぐ裏を浅野川が流れ、その景色が大きく取られた窓から見えるのですが、絶景です。
この絶景だけでもコーヒーの付け合わせとしては十分です。
BGMも、最近YouTubeでなぜか流れてくるYMOの坂本さんのピアノ演奏でした。
テクノっぽい鋭角さが、ピアノの音色で幾分かやわらげられてます。
要は、とても贅沢な午後を過ごしてしまった、ということでした。
一つ難点があるとすれば、いただいたコーヒー。
「東出珈琲のイタリアンブレンド」ということでしたが、とても薄かったのが残念。
コーヒー好きとしては、ここはガツンといってほしかった。