紙を広げよう、後は自動で動き出す
こんにちは。
てらぴーだよ。
冬に舞い戻った冷気の夜に、手帳の時間です。
今日1日を丁寧に振り返りましょう。
手帳の中紙、用紙って、どうして同じ用紙なのでしょう。
先日ネットのニュースを見ていたら、岡山県在住の女の子が、手すき紙に魅せられて、コロナの前の世界を駆け巡り、その様子を一冊の本にしたというのがありました。
浪江由唯(なみえ・ゆい)さん(26)
『世界の紙を巡る旅』
烽火書房
こだわりは2つ、一つは世界を旅した11か月にちなんで、本文の紙が1か月ごとに代わるところ。
要するに、1冊の本で11種類の本文(ほんもん)用紙を使っているというのです。
そしてもう一つは、本のカバーがすべて、著者である浪江さんの手作り。
といっても、浪江さんが紙をすいたのではなく、一番のお気に入りである、ネパールの手すき紙「ロクタペーパー」に、浪江さんが伝統的な模様を手作業で印刷。
すべて異なった模様のカバーとして、本にかけられているそうです。
紙が好きすぎて、世界1周しちゃうなんて。
しかもいろんな紙を使って、本にまで仕上げるとは。
本ではないけど、いろんな紙で作られたノートなら、いくつか見たことがあります。
手書きの場合、紙質も、書く内容にある程度の影響を与えているのかもしれません。
初めの1ページから、お終いのページまで、おんなじ紙で作られねばならないといった決まりなんてないのですから、薄い紙から、ごわごわしたのまで、いろんな紙に書いてみれば、その時の気分以上に、紙の持つクオリアで、書く内容も変わっていくかもしれません。
なめらかな、すべすべの紙に、流れるように書く場合と、紙の繊維の凹凸が微妙にペンに引っかかってくる書き味の場合とでは、手もしくは頭から引き出される思考も変わってしまうと思います。
手帳だって、毎月毎週、おんなじ紙質の紙に書くよりも、違った紙があると書き続ける新たなモチベーションとなるかもしれません。
白い紙があったり、わら半紙のようなベージュの紙があったり。
色合いが違うだけで、書きやすさも異なります。
光に敏感な人向けに、薄いグリーンのノートも発売されていますから、光の反射と書き味が、どのような関係であるか、さらに研究されるかもしれません。
普段は筆記用ではない紙を、あえてノートや手帳に挟み込むことで、書き続ける時のちょっとしたアクセントにもなるでしょう。
手帳やノートの途中に、トレーシングペーパーが挟まっていたりすると、気分も変わって、また別の発想も浮かぶことでしょう。
小さな雑貨屋さんで、個人作家の手作りの、手帳とも本とも言えそうで言えない作品を見たことがあります。
いろんな紙でできてはいるのですが、エッセイ風の文章も印刷されているのでした。
なので全体として、手帳やノートとして使うことはできない。
でも、いろんな紙を束ねたところに、なんとも言えない存在感があるのです。
ある程度の枚数が集まって、重なり合っているだけでも、人の意識をひきつける力を持ちますよね。
紙はそもそもの始まりから、人に「さあ、書きなさい」と促す存在であるからでしょうか?
大きい紙であれ、小さなノートであれ、紙を広げると、それがスイッチとなって、思考が広がり、感情が動くのです。
紙は、だから、スクリーンなのでしょう、私たちの意識の。